乳滴/2024年3月1日号
いつまで続く円安
生乳生産費の約半分を占める飼料費が高止まり、酪農家を苦しめている。配合飼料原料のシカゴ相場は一時よりも軟化しているが、海上運賃の上昇と為替の円安が値上げ要因として響いている。さらに輸入粗飼料に円安が大打撃。配合飼料のような価格安定制度がないためで、特に都府県の酪農家への影響が大きい。
そもそも為替(ドル円推移)は、2021年度に1㌦110円台で推移していた。それが22年度に32年ぶりとなる150円台に乗せ、その後、23年1~2月にいったん120円台まで戻したものの、5月以降は140円台に戻り、10月以降140円~150円前後で、年明け以降も150円前後で推移している。
円は実はドルだけではなくユーロや豪ドル等の他の通貨に対しても下落。内外の物価格差を考量する「円」の総合的な実力を示す「実行為替レート」では、半世紀ぶり1㌦360円の固定相場だった時代並みとの報道がなされている。
日本の対外的な購買力の低下は、本会がコロナ禍で休止していた海外酪農視察を5年ぶりに実施に向けた準備からも明らか。11月5~10日の日程で「ロイヤル・ウィンターフェアとカナダ酪農視察研修(6日間)」を実施する予定だが、何と費用は2倍以上に跳ね上がる見込みだ。