乳滴/2024年2月10日号
大規模集中化のリスク
都府県酪農の生産基盤が今後も確保されることが、北海道酪農や日本酪農にとって非常に重要と1月20日号で述べた。併せて本会では、家族型経営と大規模経営のバランスのとれた発展が日本酪農に必要だと訴えてきた。
確かに現状は小規模酪農を中心に家族型経営の割合が低下し、経営の大規模化が進行している。2023年度の畜産統計では、全国の乳牛飼養戸数(子畜除く、以下同じ)1万2297戸のうち、成畜100頭以上の大規模層が2105戸で17%のシェアだが、成畜飼養頭数133万7000頭のうち、過半を超える52%を占める。2008年と比べると、100頭以上のシェアは戸数で10㌽、頭数で24㌽急上昇している。
より顕著な北海道で年間の生乳生産量を階層別にみると、北海道大学の清水池義治准教授によると「乳量1千㌧以上階層は、08年の2割台半ばか22年度には6割弱へと飛躍的に上昇。逆に平均規模の経営が属する乳量500~1千㌧階層は、全階層で最大シェアであった3割台半ばから2割台半ばまで縮小した」と構造変化が起きた。
100頭以上階層では生産費上の有利性も不明瞭になっていることに加え、極端な大規模・集中化には災害、家畜伝染病、食料安全保障上などのリスクもある。