乳滴/2023年6月20日号
〝非常事態〟が継続中
離農が近年の約1.5倍のペースで進んでいる。組合役員だった方の肉牛転換や廃業の話もある。新型コロナで需給が大幅に緩和してから3年以上、ウクライナ情勢と為替の急激な円安により、生産費が急騰、高止まりしてから1年以上が過ぎた。昨年8月以降、大暴落した乳雄子牛、F1素牛の価格も若干戻した程度だ。
この間、政府・与党、地方自治体、生産者組織・乳業などが可能な限りの対策を実施。生産者乳価の引き上げも昨年11月に飲用向けを期中改定し、4月からは乳製品向け乳価を改定。この後、8月からの飲用向け乳価の引き上げがある。
それでもなお、生産現場は新型コロナ前の水準には届かない。その結果が農家所得の激減あるいは赤字である。「家族で必死に働いたにも関わらず農家所得は100万円にしかならなかった」。
働いても、見合った所得が得られない非常(異常)事態がずっと継続していることを強く意識しなければならない。
「今は、後継者がいなくて見切りをつけた人。借入金がない、あるいは少ない人がやめている」。やめられずにいる人が後に控えているとの声もある。
指定団体別の受託戸数の推移では、4月は前年対比で北海道4.9%減、都府県9.0%減といずれも前月より拡大した。