乳滴/2024年1月1日号
先人の苦労と熱き思い
明治の後半期より企業的にその芽が出て戦後、政府の選択的拡大部門として強力な振興策がとられた日本酪農。その間、親から子へ、あるいは法人や第三者継承として、今日まで連綿と受け継がれてきた。支える人数は、大幅に減少したが、先人と同様、誇りを持って毎日、勤しんでいる。
昨年、本会は創立75周年を迎えたのを機に写真集「戦後酪農の75年」を発刊した。10月1日号からの連載では、昭和21年以降の酪農界の主な出来事と写真の一部を紹介。本会のホームページでも、10分程度の動画にまとめて公開している。ぜひ、一人でも多くの酪農関係者にご覧いただきたい。
「昭和21年といえば、前年の敗戦で国民は飢え、各地で食料を求めてデモが頻発。今日、明日の食料確保が、何よりも優先された。貴重であった牛乳は、乳幼児・病人に欠かせない薬のような栄養源だった。その後、酪農生産者の努力により国民の健康の維持、体位の向上に大きな貢献を果たしてきた」(砂金甚太郎本会会長)。
世界情勢が混沌とし、タモリ氏が昨年8月に「新しい戦前」だと発言したことは記憶に残る。政府は令和6年度に不測時における食料安全保障のための法制化を進める。写真集で見る先人の苦労と熱き思いに心を揺さぶられる。