乳滴/2016年9月10日号
技術の伝承が課題に
東南アジアのラオスで日本の建設会社がダム建設等の電源開発に力を注いでいる。ラオスと言えば人口が600万人余りの小さな国だが、国土の8割が山岳地帯の地形を生かした水力発電が盛んだ。タイなど隣国に電力を輸出し主要産業となっている。日本の建設会社は国内にダム建設の適地がなくなり、事業面とともに、若手への技術の伝承も目的に参画しているのだという。技術の伝承はいわゆる職人といわれる分野だけではなく、様々な分野で大きな課題になっている。
では酪農はどうか。中央酪農会議の「酪農全国基礎調査」(2014年度)によると、酪農家では60歳以上の経営主の占める割合は全国平均で40%、都府県では50%を超えている。戦後生まれの経営者のリタイアが本格化しつつあり、酪農発展を支えてきた人材が急激に減少しつつある。
本会の酪農研究会報告の中には、特に家族経営において優れた技能が世代を超えて引き継がれてきたことが強みであることも指摘された。その一方、このような技能移転が酪農への新規参入や若い後継者による経営の早期継承の課題になる面も有している。
同報告では「担い手の減少のみならず、長年の経験によって体得された優れた技能が失われる時が迫っている」と警鐘している。