乳滴/2023年12月1日号
大豆粕の値上がり
気候予測の国際的な研究プロジェクト(CMIP6、2016年発表)による2100年まで右肩上がりで温暖化していく図。「2023年生まれの子どもにとって、今年の夏は一番涼しい夏である可能性もある」と述べたのは、瀧本昌平氏(三井物産㈱畜水産事業部)。11月20日に開催された畜産経済研究会(小林信一会長)の定例研究会で今後の飼料動向について説明する中でのことだ。1898年の気象庁の統計開始以来、最も暑い夏だった今年の酷暑が常態化していくのだろうか。
気候変動リスクは、飼料価格を上昇させ、酪農にも打撃を与える。来年1月以降の配合飼料価格は、副原料の大豆粕(ミール)の値上がりが価格にどう影響するか。中国で養豚の餌に混ぜる貴重なタンパク源である魚粉の原料であるペルーのカタクチイワシ。エルニーニョの影響から大不漁となり、代替原料として大豆粕の引き合いが強まった。
瀧本氏は、中国の魚粉の在庫が通常年の30万㌧から、ここ数年は20万㌧を下回った。かつての1㌧10万円が30万円位に。ただでさえアルゼンチンの大干ばつの影響を受けていた大豆粕相場は、10~12月期に前期比6千円値上がり、1~3月期も7千円程度の上昇とのこと。円安とともに懸念材料だ。