乳滴/2023年12月20日号
長期、複合的な危機
政府・与党、地方自治体、生産者団体、組合等が可能な限り酪農家の支援対策に追われてきた。にも関わらず、現状は依然、酪農家の離農が急増する過去最大の経営危機が続いている。
2020年の新型コロナ禍を受けた小・中・高校等の臨時休校。学校給食用牛乳が突然なくなり、やむなく乳製品向け処理をせざるを得なくなった。今に続く脱脂粉乳等の在庫増加、生乳需給の緩和が始まった。来年3月でまる4年が過ぎ5年目となる。
22年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は停戦の兆しは見えず、このままだと、まる2年が過ぎ3年目に入る恐れが強い。飼料・エネルギー価格の急激な高騰が起き、現在も高止まりしている。加えてあらゆる生産資材や食料品の値上がり等の大きな要因となったのが、円安だ。20年の1㌦100円台から、22年の110円台を経て、急激な円安が進み、150円前後で現在、推移している。
パレスチナのイスラム組織(ハマス)がイスラエルに大規模攻撃を始めたのが10月7日。日本の原油輸入の9割以上を担う中東で再び緊張が高まっている。
2年前後で回復しだした過去の需給緩和・資材高騰とは、明らかに様相が深刻かつ長期的・複合的な情勢であることを受け止めざるを得ない。