乳滴/2016年10月1日号
「規制改革会議の提言・答申」に学識者も危機感
規制改革会議の提言・答申に対して危機感を持った学識者からも具体的な行動が出てきた。例えば、東京大学の矢坂雅充氏と京都大学の新山陽子氏が共同代表を務める酪農乳業関連制度研究会は9月に「酪農制度改革論議を国民の手に取り戻すためのブログ」を立ち上げ、同会議の提言に対して具体的な問題点を指摘。幅広い意見を求めている。
「インターネット上に見られる記事等は規制改革会議の論調に沿ったものばかりで偏っており、いろいろな意見があることを知ってもらたい」(矢坂氏)というもの。
①全国1万7千戸の酪農家と関連産業従事者の命運を左右する重大な改革がたった1人の専門家の意見によって決められた経過となっている②提言内容によって、どうして生産基盤の維持・回復、酪農家の所得の向上が果されるのか、国内の酪農乳業の実務担当者の圧倒的多数が「その論理を全く理解できない」状況――だと述べ、詳細に問題点を解説している。
また、畜産経営経済研究会と日本酪農乳業史研究会は戦後の酪農乳業の発展を支えてきた「不足払い法」をテーマに10月22日に東大で合同シンポジウムを開催する。
酪政連、中酪・指定団体等が要請活動を行ってきたが、秋の結論に向けて正念場を迎えた。