乳滴/2016年12月20日号
許されない更なる譲歩
本年をふり返ると国際的にはTPP承認をめぐる米国の方針大転換の動きがある。国内では規制改革推進会議の指定団体制度と農協改革への提言。この2つが、まるで今年相次いで上陸した巨大な台風さながらの激しさで、互いに交錯し合って他の検討課題の前に立ちふさがった。
通常であれば国は、有識者等で構成している食料・農業・農村審議会の畜産部会において指定団体改革等も時間をかけ検討すべき大きな問題だったはずだ。しかし、議論が行われなかったのは残念である。
一方、政府は12月9日にTPP承認のための法案と関連法案を承認した。手続きが終了したのは、ニュージーランドに次いで12カ国中2番目。他国の承認にはずみをつけようと、米国のトランプ次期大統領がTPPから離脱を表明した以降もわが国政府の姿勢に大きな変化は見られない。
来年1月20日に就任するトランプ次期大統領はTPPより日米二国間交渉を求めていると報じられているが、関税等はTPP協定をスタートラインに更なる譲歩を求められることになったら大変だ。加えて年末に向けては、チーズ等の関税引き下げも含まれ大筋合意を目指して交渉が続けられている日・EU(欧州連合)EPA(経済連携交渉)も緊迫している。