乳滴/2017年3月1日号
予想と決断の難しさ
トランプ米新大統領によってTPPの現協定発効が不可能になった。わが国が正式に同交渉に参加してから大筋合意まで約2年3カ月。振り返ると、今の事態を予想できた人は、いなかったのではないか。もちろん今後、米国からは二国間交渉によるTPP以上の要求が突き付けられるのではないかとの警戒感は強い。
Jミルクの需給見通しや中酪・指定団体による生乳の計画生産の予測・結果は、他と比べて誇るべき精度であると自負して良いものだ。一方、経済等のマクロ(大きな)予測や要因が複雑に絡み合っているような場合は専門家でも当たらない場合が多い。
酪農でも当面気になるのは、高値の肉用子牛等の副産物価格がいつまで継続するのか、崩れるのか。約740万㌧の生乳生産量は今後、減少が予想されているが、現在の逼迫基調から再び需給緩和基調に転換することがあるのか。その際には乳価はどうなるのか。高騰している初妊牛価格の行方、飼料価格の推移と挙げていけばキリがない。
頭が痛いことではあるが、経営者であるからには慎重に、ある時には大胆に判断せざるを得ない。特に畜産クラスター事業等で大きな設備投資を予定していれば、なおさらである。花見酒の宴でのような決断ではいけない。