乳滴/2017年7月1日号
大規模集中化の危惧
都府県の生産減少を地域的には北海道が、経営規模別ではいわゆるメガ・ギガファームの超大型経営が肩代わりしているのが実態である。政府の農業競争力強化プログラム等の政策の方向性を見ても、より強い酪農家の育成に重点を置いている。前号で指摘した都府県酪農対策については、別号で問題提起するとして、政府に期待されている北海道酪農は万全なのか。
「脆弱性が高まっている」と指摘するのは、北海道大学専任講師の清水池義治氏。5月20日の畜産経営経済研究会シンポの中で、北海道の生乳生産量も2000年代半ば以降は380万㌧から390万㌧で停滞していると報告した。大規模層への生産集中が進み経産牛100頭以上層の生乳出荷量シェアは4割以上。生乳生産の地域間格差も拡大。約3割の十勝はじめオホーツク、釧路、根室の4地域で道内生産シェアの8割弱を占める。
清水池氏は、草地型酪農の後退による高コスト化、100頭以上層など大規模層の収益性は中間層を下回り、高コスト・経営の脆弱性があると指摘。その上で「大規模層への生産集中の一方で、大規模層は経営的に高コスト化や飼料価格等外部要因による影響を受けやすい」として、生乳共販の意義、重要性が高まっていると述べている。