乳滴/2018年8月20日号
〝真の危機〟が進行中
都府県の生乳生産量は、この10年間(2007年と2017年を比較)を見ても毎年減少、約82万3千㌧減った。頑張っているように見える北海道でさえこの間約9万3千㌧、2.4%の増加に過ぎない。
都府県を中心に酪農から離脱した経営の生乳生産を残りの酪農家が規模拡大しながらカバーしてきたものの、限界があることは明らかである。
「牛飼いの原点は、牛・草・土づくり」というだけあって、酪農には幅広い知識や技術、経験、が要求される。生乳を生産し、消費者の下に牛乳乳製品を届けるまでには、酪農家に加えて組合や生乳輸送、生産資材・機械、乳業等の数多くの生産者組織や関連会社が関わり成立している。
農水省等は酪農経営の現状について「子牛など副産物価格の値上がりで収益は改善されている」としているが、その裏では真の危機が進行中である。酪農戸数が一貫して減少を続け、組合運営が困難になる。点在化した酪農家の集送乳コストは物流コスト上昇と相まって負担増となり、やがて関連企業も影響を受けサービス低下、コスト増につながる。
主産地や大規模化だけの方向性で乗り切れるのか。従来の政策の調整だけでは、都府県の酪農家の大幅な減少には対応しきれなくなることが見えている。