乳滴/2021年1月1日号
酪農の持続的な発展を
需給緩和の行方が心配だが、まずは新年、感謝の気持ちを込めて牛乳をいただきたい。年間1258万㌧(生乳換算・2019年度)もの牛乳乳製品が、大切な基礎食料として食生活と健康を守り続けている。国産は736万㌧。約1万4千戸の酪農家が今日も搾乳を続けている。
生乳は日持ちがせず貯蔵性がない。需要の季節変動も大きい。このため飲用向けと乳製品向けに調整しながら、安定的に消費者に供給するための流通機構が必須である。
生乳並びに牛乳乳製品は低温管理が必要な食品だ。コールドチェーン(低温物流)が整備されていない途上国では、新鮮な牛乳を飲むことは難しい。各国をみても政府が政策的に支え、一元的な集乳等を行う仕組みや組織が歴史的に構築されてきた。わが国も1966年からスタートした、いわゆる不足払い法とそれに基づく指定団体制度が、今日の酪農乳業の発展を築いた。歴史的な経緯と役割を軽視してはならないと強調したい。
消費者に安定的に供給していく責務を未来に向けて持続させることは、簡単なことではない。何より生産者の再生産と将来に向けた投資が可能になるような生産環境がなければ、根本の生産現場から崩れてしまう。結局は国全体の大きな損失となることを肝に銘じたい。