乳滴/2021年11月10日号
政策論議の季節へ
2030(令和12)年度の生乳生産目標を780万㌧とする酪肉近を農水省が策定したのは去年3月。「達成可能な現実味のある数量を」、「国内需要への安定的な対応を」などの意見が出たが、当時の生産水準を約50万㌧上回る意欲的な目標となった。
議論が大詰めの頃、新型肺炎(最初はこんな呼び方だった)が国内でもみつかり、天皇誕生日の一般参賀、東京マラソン一般参加が中止となるなど、世の中に動揺が広がり始めていた。酪肉近でもいち早く「近年多発する災害や新型コロナウイルスなどの感染症のまん延といった不測の事態による経済活動への影響に対する懸念についても、その状況を的確に把握し、しっかりと対応しなければならない」と明記。
小売店からマスク、トイレットペーパーが消え、カップ麺、コメの棚も空に。そんな中でも酪農・乳業は安定供給に努力を続けてきた。
そして今、事態は一転。コメは古米の大量在庫が問題に。酪農は需給緩和で年末年始に処理不可能乳が懸念され、牧場は生乳出荷抑制、乳業は乳製品工場フル稼働の掛け声。
時はまさに21年度補正、来年度予算、補給金単価、関連対策決定の季節。需給問題打開への道筋をつけるため、業界の緊密な連携は当然として、力強い政策展開が不可欠。注視したい。