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ホーソンはアメリカの作家で、緋文字という作品が知られています。このワンダ・ブックは、ギリシャ・ローマ神話を素材にして、ユースタス・ブライトという名前の大学生を語り手とし、この大学生が休暇で帰ってきた折に、子供達にやさしくお話しをしてやる、といった形式がとられています。このワンダ・ブックの五番目に書かれているのが「ふしぎなつぼ」です。


老夫婦のやさしい心ねに対し、旅人に身をやつしたギリシャの神ゼウスが飲めどもつきぬ牛乳を残して立ち去る、といった物語りになっています。作者ホーソンは神ゼウスの口からこういわせています。「牛乳は神の飲みもののつきぬ泉」と。

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心やさしき者へ神が送る牛乳壺

1984-12-01

この物語の大筋はこうです。


<昔、湖の底だったと思われる村があり、ここの村人達は貧しい旅の人にきわめて冷酷で、子供は旅の人が来ると後をつけまわし、犬達は旅の人にかみついたり、吠えたりしますが、金持の旅人がくると大人達はペコペコと頭を下げ吠える犬はなぐりとばす、といった具合です。しかし、村人とは別に、丘の中腹に住む老夫婦は旅の人々にはとても親切で仲のいい夫婦でした。ある時、貧しい旅人の姿に身をかためた、ギリシャの神ゼウスがとものエルメス(作中ではクイックシルバーと呼ばれ魔法のつえを使う)をともなって村にやってきます。2人はやはり貧しい身なりのため村ではさんざんの目にあうわけです。そして中腹に住む老夫婦にところに逃げ込むようにたどりつき、二人のまずしいながらの心からのもてなしを受けます。貧しい旅人2人は(神々)はそこを立ち去るとき飲んでも飲んでもなくならない牛乳のつぼを残して去ります。そして二人(老夫婦)が死んでも後、語り合えるようにとの願いをかなえ、カシワの木とボダイジュの木にさせてやるのです。勿論、村人は大昔の湖の魚に変えて、去っていく。>


さて、老人夫婦の生活をこう語っています。『この老人たちはとても貧乏で、毎日の暮らしのためにずいぶん一生けんめい働かなければなりませんでした。フィレモンドじいさんは畑でせいだして働きました。ボージスはいつもいそがしく糸をつむいだり、じぶんの家で乳ですこしばかりバターやチーズをこしらえたり、そのほか何やかやと家の中で立ち働いていました。』


そして、この2人の老夫婦の毎日の食べるものは次のようなものです。『ふたりのたべるものは、たいてい、パンと牛乳と野菜だけで、それに、ときどきミツバチの巣からとったハチミツすこしと、家の壁にみのったブドウの一ふさをたべるくらいのものでした。』


そんな貧しい生活でもこの老夫婦は親切でやさしい人達なのです。


『(前略)わが屋の戸口につかれた旅人が立ちよると、パンを1きれと、新しい牛乳1ぱいと、1さじのミツなどをその人にたべさせて、じぶんたちは、ごはんぬきですますというふうでした。』


さらに次の文章で、まずしくてもやさしい心をもった老夫婦の心情と宗教心が読みとれます。『ふたりには、こうした旅の人が、なぜか神聖なものに思われたのでした。それで、じぶんのことより、もっとだいじに考えて、あつくもてなしてあげなければいけないと思っていました。』


ですから、村から逃げるようにやってきた貧しい2人には心から親切にしてやろうとするのですが、夕食をすませた後なので、牛乳も(搾乳牛は1頭ですから)、パンもわずかしか残っていなくて思いどおりに2人をもてなしできない。


しかし、この神の旅人は魔法のつえを使って、老人にいやな思いをさせません。そうです、つぼに少ししかなかった牛乳は、ついでもついでも出てくるのです。老夫婦のおどろいた様子や、ただ者とは思えなくなってくる旅人2人、魔法のつえがからんで楽しい語り口となって物語は続きます。この中で、語り手は、この飲めどもつきぬ牛乳を次のように子供達に話し聞かせるのです。


『それにまた、牛乳は、なんともいえない、いいにおいがしました!まるでフィレモンの家の1頭しかいない牛がきょうは世界じゅううで一ばんいい草をたべてきたのかと思われるほどでした。』そして語り手のユースタス青年は子供たちにこういいます。『ぼくは、きみたちみんなが、晩ごはんのとき、こんなおいしい牛乳をのむことができたらどんなにいいだろうと思うね!』と。


さて、年上の旅の人(神ゼウス)は老夫婦のところを立ち去るとき次のようにいいます。


『「善良なフィレモンよ、」と年上の旅人はことばをつづけました。「そして親切なボージスよ、おまえたちは貧しいなかから、家のない旅人を心から親切にもてなしてくれた。そのため、牛乳は神の飲みもののつきぬ泉となり、黒パンとハチミツは、神の口のかなうものとなった(後略)』牛乳が神の飲みもの、そしてつきぬ泉とは、作者は仲々神秘的な表現をします。


この物語りは最後に厳しいオチをつけています。


『(前略)牛乳のつぼはいつまでもふしぎな力をもっていて、いっぱいはいっていてほしいと思うときは、けっしてからっぽになりませんでした。そして、正直な、人のいい、けちけちしないお客がこの牛乳をのむと、いつも、とてもおいしくて、元気がつきました。けれど、いじわるな、いやなけちんぼうがのむと、たいてい顔をしかめて、この牛乳はすっぱいと言いました。』と。


牛乳の価値観を認めて日常牛乳を飲む人にはおいしく、値段さえ安ければ、それも超安売りならさらによい、という考えの人には、牛乳はすっぱく感じるのでしょうか―。

本連載は1983年9月1日~1988年5月1日までに終了したものを平出君雄氏(故人)の家族の許可を得て掲載しております。

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