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この推理小説「牝牛は鈴を鳴らす」E・S・ガードナーの作品ですが、小説の題名が示すようにスイスで求められた(ただし麻薬付き)牛の鈴が全編についてまわります。


それは麻薬密輸団にまきこまれた2人の男女の動きの中にあって、2人をしっかりと結びつけています。鈴の音が美しいハーモニーをかなでる限り、2人の愛は高まるように感じます。この作品に登場するのは、あたたかいミルクと、牛の首につけるスイス製の鈴がこの推理小説の構成上欠かせないものとなっています。特に牛の首につける鈴は重要です。

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牛乳で睡魔誘う 牛の鈴には麻薬

1987-02-01

この推理小説は、主人公がヨーロッパ自動車旅行をしていて、麻薬の密輸事件にまきこまれ、ニューヨークに上陸後、密輸グループに監禁され、そこから脱出、そして警察に逮捕される。そして裁判、無実の証明を得て釈放され、旅行仲間であった女性と愛をさらにはぐくむというスジですが、この作品の重要なファクターになっているのが「ホットミルク」と「牛の首につける鈴」なのです。


まず「ホットミルク」について、この連載(第20回)でも紹介した「美味礼讃」の作者、偉大なグルメ、ブリアー・サヴァランが分析しているように〝牛乳は静かに眠りを誘う飲みものである〟といっていますが、この推理小説にも、主人公が密輸グループのすさまじい監禁暴力から自力で脱出して、女友達(ヨーロッパ旅行中に知りあった)のところにかくれる。


その夜、女友達の叔母がすすめたのが、休息前のホットミルクなのです。ところが、なんのことはない物語の終盤では、この女友達の叔母こそが麻薬密輸団の一味だったことが浮きぼりになってくる。


この叔母は、多分牛乳が眠りへの効果的な飲みものであることを知っていたにちがいない。そのあたたかい牛乳にひそかに睡眠薬のようなものをまぜたから、主人公は、興奮と恐怖をまじえたいらだちの中で、十分間もしない内に睡魔に襲われ深いねむりに落ちていくのです。


その間に、叔母をはじめ密輸グループは、偽装工作、証拠隠滅などに走りまわり、主人公を殺人犯にも仕立て上げようというわけです。


いずれにしても、就寝前のあたたかい牛乳は、静かな眠りを誘う成分をもっていることにはまちがいない。朝は牛乳というイメージの他に〝ねる前にあたたかいミルクを飲んで、やすらかな眠りに入りましょう〟ということができるのではないでしょうか。不眠症の人には極めて効果的な飲み物ではないでしょうか。


さて、次は「牛の首につける鈴」です。結論から申し上げましょう。主人公のヨーロッパ自動車旅行に女友達ができたことは紹介しましたが、男友達も1人でき、3人旅行というわけですが、実はこの男友達も麻薬密輸人(グループとは別)なのです。この男は「牛の鈴」に仕かけをして表面上は牛の鈴のコレクターをよそおっているわけですが実際は麻薬運搬の道具にしているわけです。


女友達の車のボデーの底には大量の麻薬、男友達の大きなトランクには麻薬入り”牛の鈴〟というわけですから、この2人の周囲は麻薬だらけということになりますが、2人はそんなことは知るよしもないというわけです。


ですから、3人がスイスの牧場に行っても、この男友達は〝牛の首の鈴〟については一家言あるのは当然です。


『牛の鈴音のハーモニーは耳を楽しませてくれるだけではなく、飼主はそれぞれに違った音階の鈴の音をきいて、そこここに散らばっている牛の所在を確かめることが出来るのだ。(中略)万一牛がいなくなったとしても、飼主はいなくなったというだけでなく音階のなかからなくなった音を知ることによって、どの牛がいなくなったか、すぐわかる仕かけです』といった具合に主人公や女友達にことこまかに説明をするわけですが麻薬運搬道具が〝牛の首につける鈴〟であれば、これくらいの講釈は簡単にできるでしょう。まして、牛の鈴の収集家と自認するならばです。


女友達は父の遺産で牧場をもっており、アメリカに帰ったら自分の乳牛に是非その鈴をつけてあげたい、と思うので、この密輸入に鈴をゆずってくれるよう必死に頼み込むが、麻薬が仕かけてあったんでは、当然ゆずれません。


しかし、この男、小心者なのかマルセーユを出航した後、段ボール箱いっぱいの〝牛の鈴〟を海中に次々に投げ捨ててしまうわけですが、女友達は強引に4つだけもらって、アメリカに持ち帰るわけです。


税関の取り調べを恐れたのでしょうが、若い女性がスイスの牛の鈴を4つばかり持っていても税関はそう厳しく検閲はしない。本国についてから女にわからないように、牛の首からいただこう、という段取りだったわけです。


物語は、裁判、無実照明、女友達の救出などめまぐるしく展開されるわけですが、牧場と牛の鈴の音たよりに、主人公の大活躍が展開され、2人はめでたく愛を確かめあう、牛の鈴の音を聞きながら。この作品の主人公の職業は犬の訓練士ですが、何故か犬はあまり重用でなく、物語の重要な小道具は〝牛の鈴〟となっています。

本連載は1983年9月1日~1988年5月1日までに終了したものを平出君雄氏(故人)の家族の許可を得て掲載しております。

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