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あの有名な「雨ニモマケズ」の作者宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を紹介します。この作者は岩手の盛岡高等農林学校を出て、宗教的な宇宙意識にもとづいて農作業をする「農民芸術論」を説いたりして、農民とは深いかかわりのある作家ですが、米の不作をうれえて農民のためにかけずりまわって、ついにろくまく炎で寝こんでしまうなど、現実的にも農民とは 切っても切れない生活を送った人です。銀河鉄道の夜は未完の童話ですが、肉親愛と友情を中心に描いた傑作だと思います。この作品の重要な軸になっているのが、宇宙と肉親愛を結ぶ牛乳だと思いますが――。

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母に届ける牛乳牧 場の丘が宇宙

1985-09-01

童話といっても内容によっては、しばしば大人の読み物となる。そこに古典として読みつづけられる秘密がかくされています。


さて、この「銀河鉄道の夜」はこんな書き出しから始まっています。


教室、黒板につるされた星図をさして、先生が児童に問いただしています『ではみなさん、そういうふうに川だと言われたり、乳の流れたあとだと言われたりしていた、このぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか』


銀河の流れは白く牛乳が流れたように見えます。乳の流れたあとは1つ1つの星であることを知っていた主人公ジョバンニは何故か先生の問いに答えられない。この出だしには親友カムパネルラとの厚い友情がかくされているのですが、それにはふれず、作者宮沢賢治が、この童話を書こうとしたキッカケは、幾回も訪れたといわれる小岩井農場であったのではないかと私は推理します。


乳牛の飼養、放牧風景、牛乳の処理や加工、配送などを何回も目のあたりにした作者、牧場の周囲にある丘、多分この丘から賢治は夜空にきらめく星座をみつめたと想像します。


なぜなら、ご紹介したように宇宙への誘いは乳の流れたような銀河であり、主人公ジョバンニが旅立つ牧場の丘の上が銀河ステーションの始発駅になっているからです。


この童話の中ではジョバンニの母は病弱で寝たり起きたりということで、病床の母のもとには近くの牧場から病人用に牛乳が配達されます。


ジョバンニは学校帰りに印刷所に寄ってアルバイトをしています。この日も植字のアルバイトをして、わずかな時間給をうけとり。その金で角砂糖を買って帰路を急ぎます。


ジョバンニは病床の母にとどけられているであろう牛乳にその角砂糖を入れて母にのませたいからです。


でも、その日は牛乳が配達されていない(子牛が母乳の大半を飲んでしまったため)。母親思いのジョバンニは「明日でもいいのョ」という母の言葉を振り切って、その日の配達分を牧場にとりに行きますが、応対した女の人に「もうすこし後で来るよう」に言われ、仕方なく牧場の近くの丘にのぼり時間をつぶします。


その日は銀河祭りで友達はみんなで〝烏ウリ流し〟などをして河原遊びに出かけるのですが、ジョバンニにとっては母の牛乳をもらうことの方が大切なのです。


夕やみが迫る丘の草むらでジョバンニはねむってしまいます。空に星が次第に輝きをまして――。


さて、ここから親友のカムパネルラといっしょに銀河列車にのって宇宙への旅立ちが始まるのです。天上の世界の旅、ジョバンニはうれしくてたまらない。


銀河鉄道に乗った2人はあちこち途中下車をします。そして考古学者や、奇妙なシラサギとりがでてきたり、2人はさまざまな人と出会い、不思議な銀河の世界の体験を重ねます。まさに、幻想の世界ですが、途中下車する中で、牛の遺跡の発掘や、トウモロコシ畑の描写、母への心配り(早く牛乳をもらってとどけなくては・・・・)などがでてきますが、牛乳などとのかかわりを作者はしっかりと書き入れています。


この宇宙旅行の中で作者は多くのものの考えをそう入しています、宗教、思想といったことですが、ここではふれる余裕がありませんのでさけますが、いずれにしても、やがて主人公ジョバンニの夢は終ります。親友のカンパネルラが汽車から飛び降り、やみの彼方に消えていってしまう「待ってくれ!」と叫ぶジョバンニの叫びも空しく――。


丘の上の草いきれの中で見た夢は覚めました。現実にもどったジョバンニは丘をかけ下って牧場で牛乳をもらいます。牛乳をもらって家に急ぐジョバンニがみた現実は、親友カンパネルラの〝水死〟という悲しい出来事でした。カンパネルラはザネリという子を助けようとして自分がおぼれて死んでしまうわけです。(ザネリはジョバンニに何事につけ意地悪く当っている子です)


この作品は宗教、科学、思想と多くのことを考えさせられる童話になっていますが、人間の悲しさや、愛を無限に秘めた軸となる〝肉親愛〟の証しとなるのが、母に飲ませる1本の牛乳がこれを果たしていることはまちがいありません。


また、書き出しから、最後の行に牛乳が登場するなど病床の母のために遅配している牛乳を受け取りに行って、そして牧場の丘の銀河ステーションから宇宙を旅して、そして現実にもどり、牛乳をもらい家路につくこれが大筋ですが、古今東西文学作品の中でも牛乳とのその出会いはまことに感動的に思えます。 (現在この作品を原作としてアニメ映画が上映されていますが大正13年頃の牛乳びんはどんな形で描かれているのでしょうか?)

本連載は1983年9月1日~1988年5月1日までに終了したものを平出君雄氏(故人)の家族の許可を得て掲載しております。

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