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読者の中には幼い時、また自分の子供らにこのイギリスの児童文学で世界的古典ともいわれる「フランダースの犬」を読んだり、また読んで聞かせたりした方も数多くいると思います。物語は画家としての天才的な資質をもったまずしい少年と、忠実な老フランダース(ベルギーの北部の低地地帯)犬を中心にした美しくも悲しい物語ですが、この少年ネルロと彼を赤ん坊の時から育ててくれたジェハン・ダース(少年の祖父)じいさん、そしてパトラッシェと呼ばれる老犬の生計を支えていたのは、周辺の酪農家の搾った生乳をアントワープという町まで運ぶ仕事だったのです。

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生計は牛乳運搬 少年と老犬物語

1986-10-01

老人のジェハン・ダースじいさんは戦争に出て、びっこになり1人暮しでしたが、若くしてこの世を去った娘の子供をひきとって育てます。2つになるむすこを、忘れ形見として娘さんは父である老人に残していったわけです。


作者は老人とこの2歳の男の子の生活をこう書いています。『ふたりは、たいへん貧乏でした。おそろしく貧乏でした。いく日もいく日も、まるでたべるものがないことさえありました。十分なたべものがあったことは、ほんの1度だってありませんでした。』と。


しかし、貧しいながらも2人の世界はやさしい祖父と気だてもよく、美しい孫息子という間柄で、1つのパンの皮も2人でわけて、2,3枚のキャベツの葉でもともにわかちあって平和なくらしでした。


ただ1つの願いは老犬パトラッシュが自分達といつまでもいっしょにいてくれることだったのです。『パトラッシュこそは、ふたりのすべてでした。』


それは生計をささえる牛乳運搬用の車を引くのはこのフランダース産の犬だったからです。


この老人と幼い子供の友である老犬は以前悪い男にそれこそ血ヘドをはくほどこき使われ捨てられて半死状態で道端で倒れているところを、このジェハン・ダースじいさんに助けられ、半死の世界からもどりふたたび元気になったのです。


その後老人は病で牛乳を荷車で運べなくなりますが、この忠実な老犬は自ら恩がえしのつもりか荷車を引くことをせがむのです。


犬車による生乳の運送は再び始まったのですが、それ以前のジェハンじいさんの人力による牛乳の運搬を作者は次のように書いています。


『さて、老兵士ジェハン・ダースじいさんは、びっこをひきながら、自分より生活のらくな家畜持ちの村人たちの牛乳かんを、毎日、小さな荷車でアントワープの町へ運んでいっては、細々と暮らしを立てていました。村人たちがこの老人にこの仕事をたのんだのは、いくぶん慈悲の気もちからでもあったでしょう。だが、それよりも、自分たちの牛乳をこの正直な配達人に町へとどけてもらい、自分たちは家にいて、庭や牛や家禽や小さな畑の世話をしているほうが都合がよかったからです。』


それから4年ばかりして、老人は寄る年波には勝てず病の床に伏せます。しかし、少年ネルロは6歳、老人にかわって牛乳を運びます。当然老犬パトラッシェの犬車の後押しをしながら―。


『幼いネルロも、今は6つになっていました。町のことは、おじいさんになんべんもつれてゆかれてよく知っていました。そこで、おじいさんの代わりに荷車についていって牛乳を売り、代金を受け取って、それぞれ持主に渡すことになりました。その様子がいかにもやさしく、かいがいしいので、見る人は皆、すっかり感心してしまいました。』


村には金持ちの粉屋がおり、そこの娘はネルロと仲のよい友だちで、天才肌の少年ネルロは牧草地で板切れに少女をスケッチしたりします。少女の母親はネルロにやさしくしますが、父親はどうしても貧しいこの天才少年とわが娘とはふつり合いだ、としてなにかとつらく当たるわけです


さて、老人は病のため、少年と老犬を残してこの世を去りますが、牛乳を運んでいる間はなんとか少年と老犬は生きのびるだけの収入があるのですが、粉屋の親父は次々と手をうって、娘とネルロ少年を引き離して行くわけです。


そして、とうとう牛乳の運搬まで取り上げる所業にでるわけです。


『(前略)というのは、ある日、アントワープからひとりの買い手がラバに乗ってやって来て、方々の農場の牛乳の買い付けをはじめて、その買付け条件をことわって、今まで通り小さな緑の車に義理をたててくれたのは3,4人しかなかったからです。』


現代風に表現するなら、割り込みによる集乳業者の変更ということになる。食べていくための収入源をほとんど失った少年らの生活はご想像できますでしょう。身寄りのない少年は浮浪者同様の生活であり、まわりの目も乞食の子を見るような視線しか残りません。


この物語は、牛乳運搬で生計をたてている家族の貧しい環境を描くことが主題ではなく、貧しくても才能もあり心やさしい、画家としての天分をもった少年への理不尽な行為と無理解とを悲しく訴えたものです。


現に作品中、少年は絵の展覧会に自分の絵を出品しますが、貧しいが由に入選させてもらえず、また、粉屋の親父が、雪の日に大金を落とし、それをネルロ少年がとどけ、この一家の破産を救ったのに、少年ネルロと老犬は寺院の中で凍死していくという結末に終るのです。


児童文学とはいえ、ほんとうに悲しい悲しい作品ですが牛乳の運搬で生計をたてていますので紹介しました。

本連載は1983年9月1日~1988年5月1日までに終了したものを平出君雄氏(故人)の家族の許可を得て掲載しております。

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