牛飼い哲学と
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ポジリス制度とは? 世界一安全な国産牛乳 トレサビと相伴い食品の安全確保に貢献

2006-04-01

4月、新年度開始。学校を卒業し、両親が待ちわびるわが家の牧場に完全就農した人。あるいは両親が若くて酪農経営をフル回転させている時期に、わが息子とはいえ、未熟なライバルに経営などに口出しされるより、親である自分も若かりし頃に体験させられたように「鉄は熱いうちに打て」と諺にある通り、若者は他人に仕込んでもらうほうが酪農人として「筋金入り」に成長できるはずだと考える人もいる。最近は少なくなったが、中には多くの親達が歩んだ「アメリカ・カナダ・北欧」への数年間の研修に挑戦を開始する若者もいる。これらの若者たちは春を迎えて第2の人生をスタートさせ、新しい社会人の仲間入りをしたところだ。しかし門出に当たって今年は厳しい酪農界だ。


私が学校を卒業した50数年前、昭和30年代初頭は日本の高度経済成長以前で農村は不況の最中で、農学卒業生は就職もままならなかった。


その後、都会と農村の格差を少なくしようと「農業基本法」が制定されたり、稲作技術の向上は農作業時間の短縮をもたらし、その分「出稼ぎ」を促進させた。それにより、農村は母ちゃん、爺ちゃん、婆ちゃんのいわゆる三ちゃん農業の時代を迎えた。


配合飼料の袋の重さは30㌔から20㌔袋へと小型化して、三ちゃん達が運べるように工夫された。現在は機械化され、女手でもローラーで軽々と大型バッグで「餌」運びは楽になった。


また、当時の農村は都会の地下鉄工事や工業開発、茨城では筑波学園都市建設と仕事には事欠かなくて「出稼ぎ外貨」で農業の機械化は促進された。とにもかくにも、大方の日本人は体を張って、汗して働き稼いでいたものだ。


ところが、ソ連邦の崩壊に始まって、世の中は資本の原理がもてはやされ、規制緩和、IT革命に伴って労せずして偽装・詐欺商法で拝金主義・錬金術がはびこった。


われわれ自然相手の地に付いた農業は軽視され、酪農に目を向けると、飽食時代で学校給食の牛乳を残す学童が増加。給食用牛乳への補助金をカットする意向もある。


「牛乳に相談だ。」で消費低迷を食い止めようと、消費拡大キャンペーン展開中だが、冬季オリンピックでただ1人の金メダリストが、テレビでことさらに子供の頃から「牛乳は嫌いで飲んでない」と放映されてしまう始末だ。


現在、酪農関係者が牛乳の「需要緩和」などと、手ぬるい言葉で対応している段階ではない事態を迎えている。4月から酪農界へ第1歩を踏み出した若者達が生れた頃は「生産調整」と一律に割り当て、生乳減産を強いられていた。


残念ながら本年度は第2次生産調整とも言うべき生産抑制が開始されている。自動車産業に象徴されるように、資源に乏しい我が国は自由貿易が避けられず輸入乳製品に圧迫され、かろうじて市乳だけは自給率を純国内産で100%を維持してきた。


しかし、近年は消費も生産も減退しながら、さらに余乳に悩む事態で酪農界は沈滞。酪農設備は旧式のまま、補修する意欲を失っている酪農家が多い。そこに消費の落ち込みが追い討ちをかけて士気が感じられない。


しかし、「冬来たりなば春遠からず」の諺の通り、「心も金で買える」と称したホリエモン旋風もあえなく崩壊し、ようやく世情も落ち着きを取り戻して回復へ向かい始めてきた。


ホリエモン錬金術は、すでにアメリカで経験済みであったという。その指南役の国から政治がらみで牛肉輸入再開矢先に、あろうことか、誰が見ても判るSRM(特定危険部位)たる脊柱が送り込まれ再度輸入禁止となった。


このような海外からの食品への汚染物質混入を視野に入れた消費者団体の強い要望で03年5月に「食品安全基本法」が制定され、食品衛生法は全面改訂された。改定法の目的には「食品の安全性の確保及び、国民の健康保護」が明記されている。


さらに、本年5月からはポジティブリスト制度が確定され、総数700にも達する農薬・添加物・治療薬の残留基準値が逐次定められ、基準値が定められていない薬物が残留する食品の流通・販売は禁止するのみならず、生乳生産過程での残留汚染や体細胞過多の病乳汚染も当然禁じられている。


これらは1970年のペニシリン牛乳騒ぎのきっかけとなった牛乳からのBHC農薬が検出され、牛への稲わらの給与が全面禁止され、乳中への残留薬の検査が強化されてきた。


ベトナムでの枯葉作戦で撒かれたダイオキシンも検出されるなど、薬物残留問題は耳新しいわけではない。すでに残留抗生物質は事前に廃棄され食用には皆無である。


検査機関は対象薬物の検定、定量精度を確保する体制がとられ、検査精度も検査所要時間も改善された。細菌培養で時間をかけていた検査が免疫学的・分子レベルで精度が向上し、抗菌濃度、耐性菌形成濃度などより20倍以上の精度と時間も10分程度で判定される時代を迎えている。


現在、食品衛生法で残留基準値が設定されている農薬が242、動物治療薬等は31である。これら以外にも国内や世界的に多くの薬物が使用される総数は700に達する。


さらに、残留基準値が設定されていても飼料作物栽培に当たっての「作物と農薬」の組み合わせごとの基準値が設定されていないものや、農薬散布時のドリフト(風で飛散して付着する)現象で汚染残留することも配慮する、など安全食品関連の法整備が急がれ、5月末の「ポジティブリスト」制定で一区切りさせ、基準値が設定されていない薬物は安全確保に万全を期し0.01ppm(一律基準値)を越えて残留する食品の生産・流通を禁止する事になった。


ポジティブリスト制度は、生産者を特定できるトレーサビリティと相伴って食の安全確保に貢献する制度である。莫大な数の農薬・添加物・治療薬の中で残留基準値が設定されてない薬物は厳しくて、残留量が0.01ppmを超えることを禁じている。


しかし、疑問に思うことは、日本のポジティブリストの薬品の中に登場しないが、アメリカでは常用している肥育ホルモン・泌乳ホルモン・遺伝子操作はスポーツ界のドーピング同様、生理撹乱薬だが規制に明記されていない。


また、人体に悪影響が認められないとされてビタミン類もリストから除外されている。しかし、ビタミン類市場は自然環境・循環型の農業生産額のほぼ3分の1に相当する3兆円規模で、国内のサプリメント業界は工業規模で合成して販売拡張させ自然食品を脅かしている。


一方、純国内産牛乳は哺乳生物そのものが地球に誕生以来、永遠に生命を育て、生命の源流として「安全・安心で完成された健康自然食品」であることが余りにも身近になり過ぎて、感覚さえ無くなっている。日本の牛乳は「世界一安全・安心」の自然食品であると自信を持ってPRを続けなければならない。

本連載は2003年5月1日~2010年4月1日までに終了したものを著者・中野光志氏(元鯉淵学園教授)の許可を得て掲載するものです。

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