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重曹の添加はなぜ良いか? 粗飼料不足気味だと効果的 ルーメン内の中和に作用乾物中、1%前後が目安

2006-09-01

まずルーメン発酵について確認しましょう。搾乳牛のルーメン即ちドラム缶に匹敵する大きさの第1胃の中で牛が食べた餌は微生物群(ゾウリムシの様な原虫や細菌)のエサとなって発酵分解消化し吸収され胃内にVFA(V=揮発性、F=脂肪、A=酸)を生産する。


酢酸、プロピオン酸、酪酸(腐敗臭の素)などのVAFは、乳牛が牛乳を生産するのに欠かせないエネルギー源であり、牛乳生産のために、酢酸とプロピオン酸の生産比率を3.5以上に胃袋を酢漬け状態に保つ必要があります。


この比率を保つのに最も適した胃汁のPHは6.5前後。生乳と同じ弱酸性で、人用の洗剤も「弱酸性」が宣伝文句になっている。ちなみにPH7が中性、7より小さくなるほど酸性が強くなる。


繊維(セルローズ)が多い粗飼料の給与割合を減らしたり、穀類やデンプンのようにルーメン内での発酵分解が早い濃厚飼料を大量に食べさせると、ルーメン発酵が異常となってVFA産出バランスが崩れプロピオン酸が急増。結果的にルーメン内のPHが急激に低下し強酸性になる。


PHが低下して6.0を切るとセルローズ分解菌群(酢酸生産菌)より乳酸生産菌が活発化して乳酸発酵が増大して乳酸が生産される。初期の段階では、乳酸は胃壁より吸収されずプロピオン酸に変換されてから吸収されるので酢酸の割合が減少し、酢酸やプロピオン酸が増加する。その結果、乳量および乳成分、特に脂肪が低下する。


さらに、PHが5.0以下となると、乳酸はプロピオン酸へ変換できなくなって乳酸そのものが胃内に蓄積されて乳酸アンドーシス(酸性中毒)になる。そうなると、硫酸をかけられた様に微生物の大量死滅と共に細菌体内毒素(エンドトキシン)も併発し牛体は危機に瀕する事になる。


本来ルーメンは人や豚の生体内の消化酵素で分解出来ない藁などのセルローズを微生物の助けによって消化し、乳や肉を生産する貴重な器官である。


通常、ルーメン内のPHは、反芻とともに流れ込む大量の唾液によって適正な範囲(6.5前後)に調整されている。


しかし、気温が上昇すると乳牛の食欲の低下、特に粗飼料の採食量低下により反芻が減少しルーメン内のPHが低下・酸性化する。


そもそも野生時代の牛は年中雑草ばかり食べていた。そのため、1年に数日しか穀類は口に出来なかったが、今は毎日大量の穀類が与えられている。そうなると、ルーメン内は酸性になりがちだ。そのため、唾液中にアルカリである重曹を分泌してPH8で中和させている。


一方、人は食事中か食欲を意識したときに唾液(PH7.3)が1日1.5㍑分泌される。体重あたりで牛の1割にも達しない量だが、唾液の中にはデンプンを分解する酵素が含まれていることは小学生時代にヨード呈色反応で確認済みだろう。


牛の唾液には消化酵素は存在しないが、0.7%くらいの重曹液を年中だらだら流している。乾草を食べているときは多く分泌し、1日に分泌される唾液は150~200㍑とドラム缶が一杯になるくらいの量に匹敵する。ということは、0.7%の重曹液でも正味は1㌔~1.5㌔の重曹粉末となる。大変な量である。人が胃散剤として飲む量と比較すると、その多さが分かるだろう。夏になると、牛は舌で水遊びしたり、夏バテして呼吸が速くなる。また、息が絶え絶えとなり、唾液を飼槽に垂らしたりする。それはルーメンに入る量が減少していることを現している。調査によると体内の血流分布が内臓部で半減し、呼吸筋は実に7倍に達する。呼吸作用で肺から体温を下げようとして、最終的には発熱が加算されて熱中症になる。


人も牛も飢えていた頃、成牛が僅3㌔盗食しただけで「米・麦中毒」(異常乳酸発酵)で死亡した時代があった。今でも単品ものの消化が早い穀類は牛舎から離しておくことが肝要だ。


穀類過給の現在、ルーメン内のPHを酸性から中性へ上昇・中和させるために、重曹(重炭酸ナトリウム)や重炭酸カリウムなどの緩衝材(バッファー類)が使われるようになった。


バッファーのもう一つの効果として、夏季に発汗や流涎の増加に伴い損失するミネラル類を補給する働きがある。暑熱期には、カリウムやナトリウムなどのミネラル類の損失が著しく、適温期より約10%多く給与する。


重曹を飼料に添加する際の目安は、飼料乾物中0.8~1.5%で通常1日150~180㌘とされるが、与えすぎると反対に採食量を減少させるから要注意だ。


重曹の効果は後述する飼養条件で異なるが、粗飼料が不足する場合は乳脂率の低下防止が期待できる。


夏に粗飼料の食い込みが悪く、給与した飼料が胃壁への物理的な刺激が不足する際に最も有効であると考えられる。


そこで、ルーメンのPHに深く関与する給与方法を例示しよう。


①飼料給与の回数変更


1日6回以上で配合は3㌔、または、コーンは2㌔以内で分与する。この方式は自動給餌機かTMRの導入が理想となるが、工夫次第だ。


②乾草の切断長を変える


それまでの10㌢から2㌢へ切断して短くする。長いワラを粉砕給餌すると咀嚼時間がほぼ1割短縮する。すると、夏季における発熱量が抑制され、その分摂取量の低下が抑制される。


③給与順序の変更


粗飼料を先行して与え、ルーメンマットを胃内に作ってから消化が早い濃厚飼料を追加給与する


④飼料の内容変更


熱量がタンパク質の半分以下であるバイパス脂肪をエネルギー源とする、すなわち、高脂肪の綿実を給与して、ルーメン内の分解率が少ない加熱大豆などを利用する。


このように改善した上で補助的にバッファーに頼るようにしたい。


牛は馬に比べて汗腺が少なく、体温調節が苦手である。さらに、成牛は体重当りの体面積が子牛の3・5分の1に過ぎず、その分体熱の放散が低下して暑熱ストレスを多く受ける。したがって、夏季の成牛舎では粗飼料の残飼が目立ってくる。


そうならないためにも、あらかじめ乳牛が放熱しやすいように毛刈りし、牛体への散水や、水槽を清潔に維持しておいしい水を充分に供給するなど、健康管理に気をつけよう。

本連載は2003年5月1日~2010年4月1日までに終了したものを著者・中野光志氏(元鯉淵学園教授)の許可を得て掲載するものです。

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