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骨について学ぼう 骨の半数は軟骨に由来 骨髄は栄養価高い食品

2009-10-01

骨髄移植


骨髄は、骨内部のスポンジ状の組織で血液に富み、造血器官とそれを支持する間質細胞群に二分される。造血球系細胞は(赤芽細胞から赤血球、骨髄芽細胞から各種白血球、巨核細胞から血小板)に分化する造血幹細胞群であり骨髄液で満たされ、骨の外側の血流とは骨の栄養孔経由で毛細血管で連結し全血流に入る。


造血機能を営んでいる骨髄は赤色を呈し赤色骨髄、造血機能を全うし脂肪化した骨髄は黄色で黄色骨髄と呼ぶ。


この赤・黄色骨髄は骨ガラスープの料理で骨を砕くと鮮明に確認できる。栄養不良に陥ると黄色骨髄の脂肪も消耗しゼラチン状の膠様骨髄となる。


造血幹細胞から各血球に育成し成熟させる農場の働きをする骨髄液は、骨髄移植で血液病患者の命を救っている。


移植には骨髄提供者の骨髄を形成する3つの骨の腸骨から、注射器で骨髄液を採取し、患者の腕の静脈に点滴する。


脳脊髄液と骨髄液とを混同しがちだが、脳脊髄液は脊椎や腰椎に針を刺すリスクに配慮を要するが、骨髄液は中枢神経が無い腸骨から採取するので半身不随の心配は無い。


点滴骨髄液は、本来は骨髄から毛細血管経由で赤血球や白血球が全身に流出していくのとは逆に、患者の腕の静脈経由で患者の骨髄の中に逆送され、移植した骨髄液の中の造血幹細胞が患者の骨髄内で血液成分を作り始めれば、骨髄移植は成功だ。


万能細胞・再生医療


次いで骨髄間質細胞群も骨の中に存在する柔組識で、骨や軟骨、脂肪、筋肉、腱、心筋等様々な臓器特有の細胞に分化出来る未分化間葉系細胞である。これは多様な臓器への分化能を有し、再生医療の分野でも研究が行われている。


自分の骨髄細胞を筋肉注射して、閉塞性動脈硬化症の治療塞を行ない、骨髄中の血管内皮幹細胞の分化や血管新生ホルモンの産生を活性化するとされ、心筋梗塞や脳梗塞への応用も研究中だ。牛乳中の体細胞には頭を痛めることがあるが、生体組織の細胞にはその役割によって「幹細胞」と「体細胞」に分類される。体を構成するほとんどの細胞は分裂増殖能を持たない体細胞であり、新しい皮膚、血液、骨、臓器の生成は専門分化機能を有し、分裂増殖能を備えた幹細胞が担う。


ところが、京都大学の山中伸弥教授らが世界で初めて作った人工多能性幹細胞は、体細胞へ数種類の遺伝子を導入し、ES細胞(胚性幹細胞=受精卵)に似たIPS細胞(誘導多能性幹細胞induced pluripotent stem cell)を作出し、移植拒否反応などが緩和されるようだ。


軟骨と置換骨形成軟骨は血管が無い


支柱となる骨格は、長く太く成長しなければならないが、長くなるのは軟骨が骨に置き換わっていく軟骨内骨化、太くなるのは骨膜内層にできた骨芽細胞が骨をつくる骨膜内骨化による。


成長期の子供は、四肢の長骨端では軟骨が分化して骨となり、骨幹の骨膜内側は骨芽細胞によって骨を太くする作業が続けられる。思春期になるとホルモンの指令で軟骨は硬くなり始め、成人になるころには置換骨の成長は完成する。


軟骨にカルシウムが沈着して骨化するのではなく、軟骨は変性吸収され、骨芽細胞が置換骨形成を担当する。出生時から成人と同じ形の骨格であっても半数の骨がカルシウムを全く含まない軟骨でできていて、残りの骨も部分的にカルシウムが存在しているに過ぎない。


例えば、手首の手根骨は生時には全くカルシウムを含まない軟骨であり、骨量を測定するレントゲンも通過し、空白の骨なしX線像になる。


しかし、12歳に成長する頃までには軟骨が置換骨化して手根骨は完成し手掌の姿が鮮明に映し出される。


皮膚の傷は出血すると血液から再生=治癒に必要な細胞が供給され再生される。だが、細胞を運ぶ血管がない軟骨は再生能力は無く、関節障害が頻発する。幸い骨の再生力は抜群で、骨折時に骨融合・自然治癒も経験できる。


骨折局所は再生・造血幹細胞の拠点であり出血で生じた血餅の刺激物質で骨膜細胞・骨芽細胞が活発化し、約2週間で繊維性仮骨形成にて補修され繊維部分にカルシウムが沈着する。


血管が少ない部分は軟骨性仮骨が形成され次階段で本格化に仮骨から化骨へと骨折前より太めに回復し、1~2年後には皮膚に生々しい傷跡・瘢痕形成が残っても骨折部は平坦で丈夫に再生する。


食品としての骨髄


ヒトの赤血球は核を持たない細胞で、寿命は4カ月、1分間に2億個近くが新旧絶え間なく骨髄から更新・供給されている。骨髄は体内で最も生産的に働き、骨髄移植で難病をも克服している。また、骨髄は血液に富み、あらゆる血球系細胞に分化できる造血幹細胞が充満し、造血原料であり「味覚の王」である各種アミノ酸が常時貯蔵され供給されている。


米国の学者は、古代人類は動物遺体から石を使って骨を割り、栄養価の高いアミノ酸が豊富な骨髄を直接すすって食べたと推定し、この栄養価の高い食物が人類の進化の象徴である大きな脳の発達を可能にしたのではないかと説いている。


現代人は豚骨ラーメンなどで骨の髄まで美食を堪能している。豚を忌避するイスラム教のインドネシアでは、牛骨そのものを煮込み、その中にある骨髄をストローで吸飲して古代人を偲んでいる。

本連載は2003年5月1日~2010年4月1日までに終了したものを著者・中野光志氏(元鯉淵学園教授)の許可を得て掲載するものです。

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