牛飼い哲学と
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乳牛の特異性 人は糖動物、牛は脂肪酸動物 飼養管理技術のポイントは微生物をうまく飼うこと

2006-11-01

ルーメン発酵を正常に維持しよう


前回、乳牛の前胃は解剖学からは食道が進化して消化液が分泌されない嚢「ルーメン」が主役であり、人が消化出来ない粗飼料を乳牛はルーメンを中心とした消化管で有効に消化・吸収させ、人類への贈り物として「牛乳・牛肉」を生産する。


もちろん、乳牛自身の生命維持・体温維持の熱エネルギーなどへと変換させている。牛を神聖視する発展途上国では、生きるための限られた食糧を人と牛が競合しない貴重な共生関係が確立している。


まず、消化・吸収とは食物を吸収しやすい物質に分解させる働きであり、食物を物理的に噛み砕いたり消化液やルーメン内の微生物と混合したりする機械的消化と、高分子化合物である食物を消化液や微生物の働きで吸収し易い、低分子化合物に加水分解する科学的消化に分けられる。


消化産生物は消化管から血行に移行され体内に分配される。発酵は微生物の作用で有機物が分解される現象であり、分解産生物名で、すなわち酢酸、乳酸、アルコール発酵と称する。なお、発酵反応は微生物の呼吸であり、エネルギーが放出される。


ルーメン発酵の結果生じる低級脂肪酸(VFA)は、おおよそ酢酸60対プロピオン酸30対酪酸10の割合で産生される。この比率は、現状の濃厚飼料多給下の飼養条件を反映するもので乾草飽食時より酢酸の比率が低く逆にプロピオン酸は高い比率になっている。


ちなみに、酢酸、酪酸の増加は乳脂肪を高め、プロピオン酸の増加は乳量や無脂固形分・乳糖の増加となる。


粗飼料摂取の増加はルーメン内のセルロース分解菌の活動が盛んになり、酢酸の産生が増えて乳脂率を高める。消化速度が速い穀物を多く与えると澱粉・糖分解菌の活動が旺盛になって、プロピオン酸の割合が高くなって乳量や無脂固形分が増加するが「胃変」が心配だ。


ルーメン内の微生物(ミクロフローラ)は50余の細菌と200余の原虫で構成され、その数は胃内容液1㍉㍑当たり細菌数は1億、原虫は200万に達する。内容物の乾物量は75㌔、そのうち微生物の総乾物量が5㌔に達している。


また、ルーメンは連続発酵槽であり胃の中は恒常性を維持し、生体である微生物の寿命も世代交代が継続される。


その結果として、上質の動物性微生物の菌体蛋白質が毎日5㌔相当も第4胃へ供給されPH2という強酸性の胃酸と蛋白分解消化酵素液で効率よくアミノ酸に分解、吸収される。


ルーメン発酵を恒常的に連続させるためにも乳牛本来の摂食本能である頻回摂食にあわせた多回分割給与が望まれる。


人は糖動物乳牛は脂酸動物


人間も含め単胃動物はエネルギー源を「糖」に求めていることから糖動物と言われる。コメなどの炭水化物(糖質)は、消化されてブドウ糖になり、腸から吸収され血糖となる。そして、血行で体組織に運ばれてエネルギーを放出する。


一方、乳牛などの複胃動物は、ルーメン発酵で糖や澱粉やセルローズなどの炭水化物(糖質)を微生物が分解発酵して、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの低級脂肪酸(VFA)を産生し、その過程でエネルギーを放出するため、乳牛は脂肪酸にエネルギー源を求める脂肪酸動物といわれる。


乳牛は単胃動物と違ってブドウ糖は消化管から殆ど吸収されず、脂肪酸の生成に利用吸収されてしまう。従って、人のように摂食により一時的に血糖値が上がる食餌性高血糖は見られないし、平常時でも人の半分の低血糖である。


ただし、新生児の牛はルーメンの発達がないので、人や豚並の血糖値であり成長とともに半減する。低級脂肪酸はルーメン壁から直接吸収され血行に乗り、最終消化産物である乳成分などの原料となるほか、体組織で消費するエネルギーの6割以上、乳房で乳成分の合成に使われるエネルギーの半分を賄う活力源となっている。


肝臓で改めてブドウ糖を再合成する「糖新生」


乳牛はブドウ糖を必要としないのだろうか?最も大切な器官である脳は、ブドウ糖がなければ働かない。また、脂肪酸を分解しエネルギー源として利用するためにもブドウ糖は必要で、ブドウ糖が少なく脂肪酸が増えるとケトン体が増加し、ケトーシスを引き起こしブドウ糖の注射で治療することになる。


本質的には牛にもブドウ糖は必要であって、脂肪酸であるプロピオン酸や蛋白質分解物のアミノ酸を原料として「肝臓」で改めて糖が合成されて、この「糖新生」で賄われている。


ルーメン発酵でブドウ糖から低級脂肪酸を産生し、ルーメン壁から吸収した脂肪酸から改めてブドウ糖を作り直す。効率が悪い仕組みのようだが、これも人では消化出来ない繊維素・セルロースを利用するための草食動物の生理的特異性と見ることができよう。


つまり、乳牛の生理的特異性はルーメン発酵にあり、繊維質の消化にある。その繊維素の消化に関わるルーメン内の微生物、その微生物を養うのが脂肪酸という関係になる。


よく「牛にエサを与えることは微生物に食物をやること」とか「牛を上手に飼うことは微生物をうまく飼うこと」などと言われる。ルーメンで微生物を飼っているのだから、微生物を十分働かせる条件を整えることが飼養管理技術のポイントと言えよう。

本連載は2003年5月1日~2010年4月1日までに終了したものを著者・中野光志氏(元鯉淵学園教授)の許可を得て掲載するものです。

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